· 

【11月29日・読書会の報告です】

【11月29日・読書会の報告です】
読書会終了しました。今回の本は「あん」(ドリアン助川:著)でした。
小さなどら焼き店「どら春」の店主である千太郎は,業務用の「あん」を適当に使って適当にどら焼きを作っていた。そこに働き口を求めて高齢の女性がやってきた。吉井徳江と名乗った彼女は,千太郎に対して,「あん」に作った人の気持ちが感じられないと言う。徳江が「自分が作ったから食べてみて」との言葉とともに置いていった「あん」が極上のおいしさであったので,千太郎は徳江を雇うことにした。徳江は大事に小豆を扱って絶品の「あん」を作り,どら春はたちまち大繁盛。しかし…。
差別という重いテーマを扱いながら,その中に「あん」「どら焼き」というお菓子が優しくふんわりと入り込んでいるので,重いテーマを扱っているのだと感じさせない本でした。
メンバー間では,「知らない」「無理解」ということが差別につながること,自分の中にある偏見や差別意識,自分の病気(摂食障害や依存症など)をカミングアウトするかどうか,「世間」「人の目」とは何か,自由であることととらわれ,日本の歴史,目に見えないものを恐れる気持ちなど,様々な方向に話が及び,2時間ではとても足りないくらいでした。
ガジュマルの船のメンバーである私達は,摂食障害や依存症という目に見えない心の病を患っています。世間の無理解に苦しんでいるからこの苦しみをわかってほしいという気持ちもあります。しかし,私達は,他の「生きづらさ」を抱える人にやさしいかと言えば必ずしもそうではないという話も出ました。私は徳江さんの作るどら焼きを食べられるのかどうか。
いま,世の中は,コロナという目に見えない感染症に対する恐怖と恐れがあります。周囲の人が「コロナにかかりました」と言ったら,果たして偏見のない目で見られるのかどうか。自分もコロナにかかる可能性はあるのに。
今だからこそ,読むべきだった本であり,また,ひとりでも多くの大事な人に「いま」読んでほしい本だと思いました。
次回は1月3日(日)14時~16時。「坂の途中の家」(角田光代:著)を読みます。新年早々ですが,この本も良い本ですので,ぜひご参加ください♩