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2月13日(日)読書会終了しました。

2月13日(日),読書会終了しました。今回の本は「羊と鋼の森」(宮下 奈都)でした。

 

・大事件が起こるわけでもないけれども,丁寧な描写で読みやすかった。風景描写が美しい。登場人物がみな良い人柄。

 

・双子の姉妹が物語の中に登場するが,双子ってどんな感じなのだろう。

 

・どんな先生,誰に教えてもらうかで,その後芸術を続けるかどうかが変わるところがありそうだ。先生との合う合わないもあるし,縁はどうしようもないなぁ。

 

・「あきらめる」こと。音楽や芸術を極めようと思って一生懸命取り組んでもこれ以上は無理とあきらめるのは難しいだろう。この物語の人は目指しているものが高くてストイックな印象を受けた。努力することも才能なのだろうか。

 

・「一万時間」について。「どんなことでも一万時間かければ形になるから,悩むなら一万時間かけてから」という文があるが,自分が一万時間かけて今まで何かしてきたことはあったか。5~6年とすれば,仕事だろうか。どのくらいの根気がいるのだろうか。

 

・「比べる」こと。比べることで不幸になることがあるのではないか。比較しなければ鬱にもならないだろう。この物語の中の双子の姉妹も比べてしまったりするのだろうか。

 

・文中に出てくる原民喜のフレーズと原民喜について。「明るく静かに澄んで懐かしい文体,少しは甘えているようでありながら,きびしく深いものを湛えている文体,夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」

 

・温度や湿度,気候状態でピアノの状態が変わるというが,人間もそうではないか。温度や湿度や気候状態を考慮して,本番で最適の状態で演奏できるように調律することの難しさと奥深さ。

 

・「人それぞれ」について。人それぞれと言われる割には,ひとくくりにされることが多い。しかしひとくくりにされると違和感がある。依存症や摂食障害も人それぞれで症状も発症原因も違うのに医療者にひとくくりにされて決めつけられた苦い記憶がある。自助グループは共感がもとになっているが人それぞれで,多様性を受け入れる場になっているように思う。

 

いつものように,物語に直接関係することから,連想して思い出したことまで,いろいろと話が広がり,よい時間を過ごしました。

 

 

次回は3月13日(日)14時~ 「海の見える理髪店」(荻原 浩)です。

『店主の腕に惚れて、有名俳優や政財界の大物が通いつめたという伝説の理髪店。僕はある想いを胸に、予約をいれて海辺の店を訪れるが……「海の見える理髪店」。

独自の美意識を押し付ける画家の母から逃れて十六年。弟に促され実家に戻った私が見た母は……「いつか来た道」。

人生に訪れる喪失と向き合い、希望を見出す人々を描く全6編。

父と息子、母と娘など、儚く愛おしい家族小説集。直木賞受賞作。』。

 

事務所とオンライン併用で開催します。

ご参加お考えの方はお気軽にメールくださいませ。